2022年6月27日、テレビ朝日のニュース番組で使用した「家庭の電力使用量に関するグラフ」が捏造されているのではないかとTwitter上で物議を醸しました。
捏造とされた内容は、テレビの電力使用量が4番目に多いにもかかわらず、「その他」に含まれていたこと。
テレビ局が自分たちに都合が悪いから意図的に隠したのではないか、という疑いでした。
テレビ朝日は、エアコンの割合を強調したかっただけで隠す意図は無かったことと共に「丁寧さに欠けていた」と釈明しましたが、疑いはなかなか晴れないようです。
気になったので調べてみましたが、個人的には、テレビ朝日の釈明どおりだと納得できました。
その理由とともに、学ぶべきことも多かったため、まとめました。
※該当のニュース番組です
出展:ANNnewsCH 冷房使いながらの「節電」 家庭でできる対策は?(2022年6月27日)
電力消費量のグラフが捏造されていないと考える理由
大きく3つの理由から、電力消費量のグラフが捏造されていないと考えています。
- 解説の流れに違和感がない
- 経済産業省のグラフをそのまま使用している
- 「テレビ・DVD」の前が、わずか0.3%の「温水便座」
解説の流れに違和感がない
1つ目は説明の流れに違和感がなかったことです。
番組の中ではグラフを表示した後、「エアコンの割合は大きいが、熱中症にならないように無理のない範囲で」「他の方法でも節電できる」という説明につなげていたので、グラフはこの説明のために使われたのだと理解出来ました。
さらに、グラフとは別に各家電の節電方法も解説していましたが、その中にはしっかり「テレビ」が入っていました。
※「テレビをつけない」ではなく「明るさ(輝度)を落とす」でしたが
テレビの電力消費量を隠すつもりなら、わざわざ思い出させる必要はないですよね^^;
経済産業省のグラフをそのまま使用している
2つの理由は、一部を加工したものの、基本的には経済産業省のグラフをそのまま使用していることです。
経済産業省のグラフと、番組で表示されたグラフを比較するとすぐに分かります。
左上の「テレビ・DVD」が疑いの原因となったものです。
1枚目:経産省がまとめた電力消費量のグラフ
2枚目:テレ朝の報道 pic.twitter.com/zHkbHeulYe— 肴健志(さかなけんし)@ゆっくり茶番劇 (@tsumamikenshi30) July 1, 2022
円グラフとしての違和感がまっさきに目につきます。
通常、円グラフは割合の多いものから順に記載していきますが、「エアコン」の次が2番目に割合の多い「照明」ではなく、3番目の「冷蔵庫」になっています。
番組の解説では「エアコン(1番)の次に冷蔵庫(3番)、照明(2番)、給湯(7番)、炊事(5番)と続いています」と言っていましたが、「いや、続いてないじゃん」と突っ込んでしまいました^^;
「テレビ・DVD」の前が、わずか0.3%の「温水便座」
1、2つの理由に続いて、3つの理由として、元となった経済産業省のグラフでは、「炊事」(5番)の次が「温水便座」0.3%(10番)、その次が「テレビ・DVD」(4番)となっていたことが挙げられます。
出展:経済産業省-省エネポータルサイト-夏季の省エネ・節電メニュー(ご家庭の皆様)-8エリア版
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/shoene_setsuden/pdf/setsudenmenu_katei02.pdf
グラフはあくまで「エアコン」を強調する目的で使われているため、「主目的であるエアコン以外はそんなに重要ではない」「0.3%以降はまとめてしまった方が見やすい」と判断したことは容易に推測できます。
その際、0.3%の後ろにあった「テレビ・DVD」もまとめられてしまったようです。
4番目に多いものを「その他」にまとめてしまうのは違和感がありますが、そもそも割合の多い順に並んでないが故の起こったことだと思われます。
電力消費量のグラフは本来どうなるべきだったのか
テレビ朝日の「丁寧さに欠けていた」という釈明の「丁寧さ」とはなんだったのか。
私は「経済産業省のグラフとは用途が違うにも関わらず、そのまま使用しまったこと」だと考えます。
経済産業省のグラフは、季節ごと、各地方ごと、ご家庭・会社、それぞれの電力消費量を比較するためのものであるため、割合の多い順ではなく品目順になっています。
経済産業省のホームページには、北海道版、8エリア版、沖縄版がご家庭用、事業者用で存在し、さらに夏季版と冬季版まであります。
※2022/07/03現在は夏季版のみ。番組で使用されたのは、ご家庭・8エリア・夏季版)
しかし、番組で使用する際は、単純に家電の電力消費量の割合を説明するものであるため、割合の多い順に並べるべきだったのですが、これを怠ってしまったのが「丁寧さに欠けていた」というだと理解しました。
こんな感じのグラフならよかったのかもしれません(Excelでサクッと作ってみました)
作ってみて思いましたが、配色がかなり大変ですね^^;
番組制作は忙しいイメージなので、グラフ1つにそんなに時間はかけられなかったことは容易に想像できます。
ちなみに「経済産業省のグラフを全く加工せずに使用すればよかったのに」という意見もTwitter上にはありましたが、左側の文字が細かくすぎるので、「その他」にまとめたのは英断だと思います。
そこまでやって順番をそのままにしたのは、一手間惜しんでしまったのか、元のグラフに配慮したのか、はたまた、円グラフにこだわりがなかったのか…
捏造を疑われた原因と学ぶべきこと
正直なところ、ニュースを見ている段階では、グラフにテレビが入っていないことは気づきませんでした。やっぱり一番割合の大きい「エアコン」だけしか目に入りませんね。
それでも今回、グラフの捏造を疑われてしまったのは、「信用を失っていたから」だと思います。
視聴者がテレビ局を「捏造もやりかねない」「自分に都合の悪い情報を隠蔽しかねない」と疑っていて、慎重かつ厳しい目で見ているということです。
今回の事例を冷静に見れば、「丁寧さが欠けていた」だけなのは容易に分かりますが、人間性?が疑われている場合、冷静に見てもらえなくなってしまいます。
他人事ではなく、プライベートでも仕事でも同じことがあるので、普段から疑われないような行動、誠実な対応を取ることを心がけましょう。
特に遅刻してしまう方、仕事中に居眠りしてしまう方は要注意です!!!!
まとめ
「テレビ番組で電力消費量のグラフが捏造されていた!?」と最初に見たときは悪いイメージが先行しましたが、よくよく調べてみれば、制作上のちょっとしたポカだったことが分かりました。
しかし、信用を失っていると、こんなにも火が付きやすくなるものなんですね…。
改めて、誠実な行動の大切さが分かりました。
7月になって職場に正式配属されたばかりの皆さん、遅刻や居眠りは要注意ですよ!
それでは、誠実なお仕事を!