システムエンジニアについて調べていく過程で、一度は「炎上プロジェクト」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
最近は少なくなってきた印象もあり、新人の方であれば縁遠いものかもしれません。
万が一、巻き込まれそうになった時のために、事前に予備知識をつけておきましょう。
この記事では、筆者の20年近いシステムエンジニアとしての経験から、炎上プロジェクトの見分け方と対処方法を解説していきます。
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炎上プロジェクトとは
この記事では「炎上プロジェクト」を、以下の特徴を持つものと定義します。
- 長時間残業が発生する(月60時間以上)
- プロジェクトの終わりが見えない(ゴールが不明)
一時期は「デスマーチ」とも呼ばれた炎上プロジェクトは、まともな思考力が奪われ、最悪の場合は過労で倒れてしまうという事態を引き起こしました。
企業コンプライアンスが厳しくなった昨今、日本の平均労働時間は減っていますが、企業風土によっては未だに残っているので注意が必要です。
なお、そういった企業では、月60時間以上の残業をほぼ全員が実施していても「当たり前のこと」として捉えていることが多いため、改善も為されません。
通常1ヶ月の稼働日は20日にも関わらず、25日で計算していることになります。
これを正常な状態だと主張することは筆者にはできません-_-;
炎上プロジェクトの見分け方:こんな職場は要注意!
炎上プロジェクトの見分け方について、レッドカード(ほぼ確実に炎上する)と、イエローカード(炎上の可能性が高まる)に分類して3つ紹介します。
レッドカード:管理者が設計/製造をしている
筆者の体験から、管理者が管理をせずに設計/製造をしている場合、ほぼ確実に炎上します
設計/製造は集中力を要する大変な作業です。
管理は設計/製造と同等かそれ以上に大変な作業である、という事実を、管理者自身が認識していない可能性があります。
「線表を引く」
「作業者の作業状況を集めて顧客に報告する」
管理作業がこれだけだと勘違いしている場合、当初の予定から大きく乖離していくことになり、簡単にはリカバリできないほど差が広がることになります。
本来の管理作業は「引いた線表どおりに実績を進むように、全体のトラブルを解消していくこと」にあります。
設計/製造していると他者のトラブル対応まで手が回らないため、積み重なっていく…というのが実態です。
プレイングマネージャーというのは超優秀な人しかできません。
そして超優秀な人は自分でプレイなんてしません。
※外注したり、マニュアルとか作って自分より単価安い人にやらせた方が効率よいですから^^
イエローカード:管理者が受け身
管理者の中には、作業者に対して
「なんで報告を上げないんだ!」
という方がいます。
トラブル発生や緊急性のあるものは、発生時点で作業者に挙げてもらうしかありませんが、日々の作業進捗報告に対しての物言いであれば、ちょっと危険な香りです。
これは「作業進捗報告」は誰が何のために必要としているか、という点に起因します。
「レッドカード:管理者が設計/製造をしている」で述べたように、本来の管理作業は「引いた線表どおりに実績を進むように、全体のトラブルを解消していくこと」です。
つまり「作業進捗報告」は、管理者が管理作業(状況把握)をするために必要な情報です。
新人の頃、ボーっと作業指示を待っていたら怒られた経験はないでしょうか。
先輩に聞くなどして、自分の作業に必要な情報を自分で取りにいきなさいと。
どういうわけか、管理者になると基本的なことが抜け落ちることがあるようです^^;
イエローカード:職場の会話が少ない
コロナ以降、在宅ワークでチャットを多用することが増えたため、会話の少なさ=炎上の気配とは言えなくなってしまいました^^。
それでも、会話による情報の即時伝達、重要性の強調などは非常に有効だと思っています。
文章だけで全てを説明するのは難しいですし、絵を書きながら口頭で説明するのが圧倒的に早いです。
要所要所で対面説明が必要なはずなので、まだイエローカード扱いとしています。
炎上プロジェクトに入ってしまったときの対処方法
残念なことに、炎上プロジェクトだと分かるのはプロジェクトに参入した後です。
※火消しとして参入した場合は除きます。
炎上プロジェクトだと気づいた、もしくはこれから炎上しそうだ、となったときの対処方法を解説します。
管理を奪い取る
「レッドカード:管理者が設計/製造をしている」で解説したとおり、炎上プロジェクトで最も危険なのは「管理者が管理しない」状態です。
他人があてにできないのであれば、自分でやるしかありません。
管理を奪い取りましょう!!!!!!
上司に相談する
「管理を奪い取る」のが最善の方法ですが、契約や実力的に難しい…ということであれば、上司に相談です。
管理者が直属の上司であれば、その上の上司に相談しないといけません。
組織上は越権行為になるので勇気が要ります^^
客先常駐(SES契約)であれば、相談に勇気は要りません。
提案としては次のようなものがあります。
- 管理を別の人に変えてもらう、または、自社から管理者を別に出す
- 予め炎上時の取り決めをしておく(60時間も残業しないぞ的な)
- 撤退する
なお、下にいくにつれて提案は通りづらくなります。
このまま突き進む、または、退職する
色々な提案をしても
「何が何でもこのまま(炎上プロジェクトに突っ込んで)行け!」
という指示が下ることがあります。
会社には会社の理論があり、上司には上司の都合があります。
ここからは自分で選択する必要があります。
勉強と割り切って、会社や上司に合わせてこのまま突き進むも良し。
やってられないと退職するも良し。
いずれにせよ、リスクの無い選択はありません。
せめて、事前にリスクに備えておきましょう。
炎上プロジェクトに立ち向かうため、体力をつける。
退職に備えて、資格取得や転職サイトに登録しておく。
普段から備えをしておくのが大切です。
新人の場合はどうする?
ここまで紹介した対処方法を読んで、「新人の私には難しいなぁ」と感じたものもあったのではないでしょうか?
実際、楽観的な人、実力がある人、上司とある程度の信頼関係を築いている人でないと実行のハードルが高いです。
入社したばかりでいきなり会社を辞めるのも相当リスキーです^^;
私自身も消極的な性格だったため、上司への相談すら5年目でようやくできるようになったほどです(これはさすがに遅すぎるでしょうが^^;)。
命の危険を感じたらためらうべきではありませんが、そこまでの危機感を感じていない場合、行動に移すのは難しいです。
新人の場合、あえて「炎上プロジェクトに突き進む」のもありかもしれません。
良くも悪くも、新人であれば基本的には戦力外なので、そこまで重い責任は負わされないと予想されます。
一度、炎上プロジェクトを体験しておくのも、長い人生ではプラスになる…かも。
プロジェクトの雰囲気は極めて悪いので、飲まれないように精神的には距離を置いておきましょう。
なぜプロジェクトは炎上してしまうのか?
プロジェクトが炎上してしまう理由は、一言でいえば「計画に不備がある」からです。
- 無理のあるスケジュール
- 無理のある人数
- 必要な技術の不足
このような原因に目がいきますが、さらに掘り下げると次の2つに集約されます。
- リスクマネジメントの不足
- 管理業務の認識不足
これらについて、説明していきます。
リスクマネジメントの不足
リスクマネジメントとは、計画を実行していく上で、どんな阻害要因があるのかを洗い出すことと、それらの対応方法を考えておくことです。
私が参加したPMS(日本プロジェクトマネジメント協会の認定資格)の研修において、数々の大規模プロジェクトを成功させてきたベテランのプロジェクトマネージャは、次のように語っていました。
「リスクマネジメントをしっかりしておけば、8割のプロジェクトは炎上しない」
「炎上しているプロジェクトを分析すると、まず洗い出しから甘い」
実際に私が初めてプロジェクト管理したときは、これだけを徹底することで乗り切りました。(他に研修で学んだことは忘れちゃってました^^;)
管理業務の認識不足
管理者の中には「進捗管理=各自の作業状況をまとめるだけ」と考えている人がいます。
これは大きな間違いで「進捗管理=各自の作業がスケジュールどおりに進むように手を打つ」というのが正しいです。
各自の作業状況をまとめるのは、あくまでも手段。
各自の作業がスケジュールどおりに進んでいるかを確認し、進んでいないなら阻害要因を特定し、必要なら排除しなければなりません。
例えば、配送業者に当てはめてみると、各作業者は荷物を運ぶトラック運転手です。
そして管理者はトラック運転手に配送ルートを指示するオペレータに相当します。
- 予定時間までに目的地に荷物を届けるにはどうすればよいか。
- 高速道路を使うとして、高速道路が封鎖されていたら?
- 目的地付近の道路が狭くてトラックが入れないかも。
- トラック運転手に土地勘がなく、道に迷ってしまうかも。
オペレータ=管理者は、事前の計画に加え、現場トラブルの検知と対処をしなければいけません。
軽いトラブルならトラック運転手の方で対処できますが、高速道路が封鎖という大きなトラブルには対処しきれませんので、オペレータ=管理者の対処が必要になります。
どんなプロジェクトであっても、必ずトラブル=予想外の事態は発生します。
毎日トラブル発生の有無を確認し、対応策を講じる。
そんな管理者の仕事を体験してみて、個人的には管理者=生き物係と認識しています。
意外?プロジェクト炎上の原因ではないトラブルとは
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まとめ
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