この記事を読むとわかること
- TikTokで曲が使えない理由と著作権の仕組み
- 音声が消える保存・ダウンロード時の対処法
- 安全に音源を使うための正しい選び方
TikTokで動画を投稿しようとしたとき、「この音源は使用できません」と表示された経験はありませんか?
実はそのメッセージの裏には、音楽を守るための著作権の仕組みがあります。
本記事では、TikTokで「なぜ曲が使えないのか」、そして「安全に保存・ダウンロードするにはどうすればいいのか」を、国内外の公式情報に基づいてわかりやすく解説します。
なぜTikTokで「好きな曲」が使えないのか
「この曲が使えないのはなぜ?」と感じる背景には、TikTokの音源ライブラリと著作権契約の仕組みが深く関係しています。
まずは、アプリ内で音楽がどのように管理されているのかを理解することが大切です。
TikTokの音源ライブラリと著作権契約の仕組み
TikTokでは、アプリ内で選択できる音源を「音源ライブラリ」として提供しています。
これらの音源は、日本音楽著作権協会(JASRAC)や音楽出版社、レコード会社と正式な契約を結び、権利処理を済ませた楽曲です。
つまり、ライブラリ内の楽曲は「TikTok上で使ってよい」と許諾を得ている安全な音源といえます。
一方で、ライブラリに表示されない楽曲は、TikTokがまだ権利者と契約を結んでいないか、あるいは特定用途(商用利用など)が制限されている場合が多いのです。
そのため「好きな曲なのに使えない」と感じるのは、権利関係の整理が済んでいないだけ、というケースがほとんどです。
商用アカウントでは使用制限がある
個人ユーザーとは異なり、企業やブランドが運用するTikTokアカウントには「商用利用の制限」があります。
TikTok公式の商用音源ライブラリ(Commercial Music Library)によると、ビジネス目的のアカウントは一般音源を利用できず、商用利用が許可された音源のみ使用できると定められています。
これは、音楽の著作権者が商業目的の使用に対して別途許可を必要とするためです。
国や地域によって使える曲が違う理由
TikTokの音楽ライセンスは、国や地域ごとに異なる契約体系を持っています。
たとえば、アメリカではASCAPやBMIなどの音楽権利管理団体が包括的にライセンスを提供しています。
一方、日本ではJASRACやNexToneが個別の契約を行うため、利用できる楽曲の範囲が異なります。
TikTokの著作権ポリシーにも、「地域や契約により利用可能なコンテンツは異なる」と明記されています。
これは単なる制限ではなく、世界中のクリエイターと音楽権利者が安心して活動できるようにするための仕組みです。
保存・ダウンロード時に音声が消える理由
TikTokの動画を保存したとき、「音声が消えている」「BGMだけ再生されない」と感じたことはありませんか?
それは単なる不具合ではなく、著作権保護の仕組みによる制限です。
ここではその理由と、私的利用の範囲について見ていきましょう。
著作権保護のため、音声が自動的にカットされる
TikTokの著作権ポリシーによると、ダウンロード機能は音源権利者の保護を目的に設計されています。
そのため、権利保護対象の音源が含まれている場合、保存時に音声がカットされる仕様になっています。
これは、他のSNSや外部サイトに無断転載されることを防ぐための自動処理です。
私的利用の範囲内なら保存はOK
日本の文化庁が定める著作権法第30条では、「私的使用のための複製」は一定の範囲で認められています。
つまり、自分だけで楽しむための保存であれば、違法ではありません。
ただし、保存した動画を他のSNSに投稿したり、音源だけを抽出して再利用する行為は明確にNGです。
音楽を「聴く自由」と「配信する権利」は別のもの。
その線を理解することで、クリエイターとして安心して活動できます。
ダウンロードと再配布の違いを理解する
TikTokのヘルプでも「ダウンロードされた動画は、権利上の理由で音声が削除されることがあります」と明記されています。
つまり、保存ボタンで落とせる範囲は「TikTok上で許可された再生権」に限られており、再配布や編集利用までは想定されていません。
音が消えるのは制限ではなく、権利を守るためのルールなのです。
合法的に「使える」音源の選び方
著作権を守りながらTikTokを楽しむには、「使っても大丈夫な音源」を正しく選ぶことが大切です。
TikTokでは、いくつかの安全な方法が用意されています。
TikTok公式ライブラリの音源を使う
TikTokが提供する音源ライブラリは、商用・非商用の契約を含め、すべて権利処理が済んでいます。
「楽曲を選ぶ」から検索できる音源は、TikTok側で利用を許可された安全な範囲です。
この中から選ぶことで、著作権トラブルを避けながら安心して投稿できます。
商用利用はCommercial Music Library(CML)を使う
企業アカウントやビジネス向け動画では、通常音源ではなくCML(Commercial Music Library)を使用する必要があります。
TikTokはCMLを通じて、商用利用に適したロイヤリティフリー音楽を提供しています。
これにより、企業も著作権違反のリスクを避けながら、安心してプロモーションが行えます。
自作音源・著作権フリー素材の活用
自分で演奏・作曲した音源を使う場合は、基本的に自由です。
ただし、他の楽曲の一部(サンプリング)を含む場合は、その部分に著作権が発生します。
また、著作権フリー素材を使うときも、配布サイトの利用規約を必ず確認しましょう。
海外との違い|国際的な著作権管理の仕組み
TikTokは世界中で利用されているため、国ごとに異なる著作権ルールが適用されています。
同じ曲でも「海外では使えるのに日本では使えない」ことがあるのは、この仕組みの違いによるものです。
アメリカではASCAPとBMIが包括的にライセンス管理
アメリカでは、ASCAPやBMIといった音楽著作権団体が中心となり、TikTokなどのプラットフォームと包括契約を結んでいます。
この包括契約により、TikTok上で利用できる音源の範囲が明確化されています。
国際レベルでのルール整備も進む
IFPI(国際レコード産業連盟)の報告によると、世界的にも短尺動画アプリでの音楽使用ルール整備が進んでいます。
TikTokは各国の権利団体と連携し、音楽業界全体の利益を守るための仕組みを拡充しています。
日本の著作権制度との違いを理解する
日本では、JASRACやNexToneが個別に許諾を行う方式のため、米国の包括契約型とは異なります。
そのため、アーティストやレーベルごとの契約条件が細かく設定され、結果として「使えない曲」が生まれることもあります。
この違いを知ることで、「なぜ音源が制限されるのか」を理解しやすくなります。
トラブルを避けるためのチェックリスト
著作権のルールをすべて覚えるのは大変ですが、最低限のポイントを押さえておけば、安心してTikTokを楽しめます。
以下のチェックリストを、投稿前に確認してみましょう。
- ✅ TikTok公式ライブラリの音源かを必ず確認する
- ✅ 商用利用の場合は Commercial Music Library(CML) を利用する
- ✅ フリー音源はライセンス条件とクレジット表記を確認する
- ✅ 保存した動画は「私的利用」範囲にとどめ、再配布しない
- ✅ 権利が不明な音源は TikTokヘルプセンター や JASRAC に問い合わせる
FAQ(よくある質問)
Q1. 自分で買ったCDの曲をTikTokで使ってもいい?
いいえ。CDを購入しても、それは「私的視聴の権利」であり、SNS投稿に使う権利までは含まれません。
文化庁の著作権法ガイドでも、配信・公衆送信には別途許諾が必要とされています。
Q2. 保存した動画を他のSNSに転載しても大丈夫?
保存したTikTok動画には、著作権で保護された音源が含まれている場合があります。
そのまま他SNSへ転載する行為は、音楽の再利用にあたるため、権利侵害の可能性があります。
Q3. 音声が消えた動画を再編集して投稿してもOK?
一度削除された音源を再び追加することは、TikTokの利用規約違反となる可能性があります。
音声を差し替える場合は、TikTok公式ライブラリの音源を選び直しましょう。
Q4. 海外アーティストの曲を使いたい場合は?
海外では ASCAP や BMI がTikTokと包括契約を結んでおり、一部の曲は合法的に使用できます。
ただし、国やアカウント種別によって利用範囲が異なるため、TikTok公式のヘルプで確認しましょう。
Q5. 自作の音源ならすべて自由に使える?
原則として可能ですが、他人の作品を一部サンプリングしている場合は、その部分に著作権が発生します。
完全オリジナルまたは使用許可を得た素材を使うことが安全です。
まとめ:小さな理解が、大きな自由を守る
「好きな曲が使えない」という瞬間は、残念に感じるかもしれません。
けれど、その背後には、音楽を作り、支える人たちの努力が息づいています。
著作権のルールは“制限”ではなく、“創作を守るための約束”なのです。
TikTokで安全に音楽を使うために――。
公式ライブラリを選び、私的利用を守り、権利者への敬意を忘れない。
その積み重ねが、あなたの動画をより誇れるものにしていきます。
この記事のまとめ
- TikTokで曲が使えないのは著作権契約の仕組みによるもの
- 音声が消えるのは権利保護のための自動制限
- 商用利用はCommercial Music Libraryを使用
- 私的利用の範囲を守れば保存は合法
- 公式ライブラリ・フリー音源の活用が安全
- 海外ではASCAP・BMIなどが包括契約を管理
- 著作権は創作を守るためのルール
- ルールを知ることで安心して投稿できる

